指定管理協定書へ収入印紙の貼付は必要か?印紙税法での協定書の扱いを特定行政書士が解説

記事の概要


指定管理協定書の法的性質は?

公共団体と指定管理者との協議により締結される「協定書」は、管理の基準や業務の範囲など条例で定める事項の他に公の施設の管理にあたって必要となる事業報告書などの提出期限、委託料の額、委託料の支払い方法、施設内の物品の所有権の帰属等の詳細な事項について定められるものです。

この協定書の法的性質については、指定管理協定書の法的性質を論じた記事で検討しています。指定管理の協定書は「行政処分の附款」と解するのが妥当です。

参考:指定管理者協定書の締結で注意すべき点を専門資格を持った行政書士が徹底解説

協定書が「行政処分の附款」であるという理解を前提として、印紙税についても検討したいと思います。

押印

印紙を貼る必要がある書面とはどのようなものか?

印紙税法第 2 条において「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する」と規定されています。すなわち、印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の三つのすべてに当てはまる文書をいいます。

  1. 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
  2. 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
  3. 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

印紙税法上の課税物件かの判断基準は?

課税文書に該当するかどうかはその文書に記載されている内容に基づいて判断することとなります。しかし、当事者の約束や慣習により文書の名称や文言は種々の意味に用いられています。そのため、その文書の内容判断に当たっては、その名称、呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号等の実質的な意味を汲み取って行う必要があります。

印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書のうち、指定管理の協定書と類似するものは「請負に関する契約書」が挙げられます。「請負に関する契約書」とは、具体的には、工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書などを指します。

指定管理の協定書は課税物件か?

そこで、指定管理に関する協定書が「請負に関する契約書」に該当するかが問題となります。上に挙げた記事で検討した通り、指定管理の協定書は「行政契約」ではなく「行政処分の附款」と考えられます。

したがって、指定管理の協定書は「契約書」ではないため、印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書には該当せず課税物件ではないと考えられます。

総務省の見解も印紙不要

総務省の見解でも、指定管理協定書に対する印紙税の要否については、

  1. 協定は契約ではなく、「指定」という行政処分の附款であると考えられること
  2. 指定管理の法的性質は、「仕事の完成」を約する「請負」ではない

ことなどの理由から、協定書は「請負に関する契約書」に該当するものではなく、基本的に印紙の貼付は不要と解釈しているようです(『地方自治』第 740号 地方自治制度研究会p68)。

以上より、一般的には指定管理協定書へ収入印紙の添付は不要と解されます。

指定管理協定書の内容チェックに関しては行政書士に御依頼下さい。

side011


コメントは受け付けていません。