指定管理者施設が避難所になった場合に指定管理者はどうのように対応すべきか?

記事の概要


被災者向けの避難所開設

 2016年には熊本で大きな地震が発生し、2018年8月には台風21号が関西地方を直撃、2019年9月には台風15号が関東地方を直撃してそれぞれ大きな被害をもたらしました。台風により被災した住人向けには、地方自治体が避難所を用意します。

 断水が発生していれば給水車が配置されたり、停電が発生していれ施設の電源開放や電源車が配置されたり、ブルーシートの供給拠点として活用されたりします。

指定管理対象施設が避難所に

 地方自治体が所有するホールや体育館は、災害時に避難所として機能する場合が多くあります。そのような施設が指定管理者による指定管理であった場合には、どのように対応するのでしょうか。

 災害時に避難所になった場合、行政と指定管理者の役割分担について検討してみましょう。熊本地震の際には熊本市内にも多くの避難所が開設されました。その中にも、指定管理者による指定管理を実施している施設が複数あります。

熊本地震の例

 例えば、「熊本市国際交流会館」は14日の前震直後より避難所として活動し、多い時には外国の方々、日本の方々合わせ100名以上の被災者を受け入れ、余震の続く中24時間体制で対応していたようです。この「熊本市国際交流会館」は熊本市国際交流会館共同企業体(代表団体 一般財団法人熊本市国際交流振興事業団)が指定管理者となっています。

kumamoto

 避難所の運営は、指定管理者の本来業務とはいえません。一方で、本来の業務ではないからといって、一切対応しないのも妥当ではありません。

災害時の対応を協定書で規定すべき

 指定管理者が管理者の指定を受ける際には、その業務内容などを規定するために、自治体と「協定書」を締結します。この協定書の中では、自治体と指定管理者の役割や支払い内容について規定しています。

 したがって、災害時に避難所として機能する際の役割分担についても、指定管理の協定書に盛り込むべきです。

 指定管理者制度は阪神・淡路大震災の発生時にはなかったが、現在は兵庫県内でも多くの自治体が導入し、災害時に避難所となる施設もある。ただ、災害時の取り決めをめぐっては市町によってばらつきがあり、一部は熊本地震を機に指定管理者との役割分担について検討を始めた。

(中略)指定管理者の募集要項に災害時に避難所となることを書いているだけで、契約に当たる協定では触れていないという。町職員が初期段階から避難所を開設・運営するとして、指定管理者の役割は想定していなかった。

2016/5/13 神戸新聞

 しかしながら、上記の記事によると指定管理者と自治体の協定書には、災害時に避難所として機能する際の業務内容について規定されていないものがあるようです。指定管理者の指定を受けている事業者は、災害時の対応内容について具体的な規定がされているか、協定書を再度確認してください。

協定書内容は行政書士によるチェックが必須

 協定書は管理者(地方自治体等)の文案通りに締結すべき義務はありません。指定管理者の立場で主張すべき内容はしっかりと主張すべきです。

 協定書締結時には記載内容に注意を払わず、自治体担当者との口頭による合意だけで安心してしまい、数年後にトラブルとなるケースも多くあります。管理者である地方自治体等の担当者は数年で人事異動により交代するため、指定管理期間中に同一の担当者が在籍し続けることは期待できません。口頭による合意ではなく、合意内容は書面上に明記する必要があります。

 行政書士資格を持たない「コンサルタント」は、官公署である管理者宛の代理人として書面を作成することはできません。協定書の内容チェックや締結手続きへの立会・代理は行政書士に御依頼ください。

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