記事の概要
指定管理者の「指定」は法的にはどのような位置づけなのかを考察します。
「指定管理者指定」の法的性質は、公共団体と指定管理者になる事業者が締結する「協定書」の法的性質を考察する前提として重要な意味を持っています。
指定管理者指定は「行政処分」と言えるのか、それとも行政と事業者間の「契約」なのかを考察します。
行政処分とは
行政処分とは、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいいます(最判昭和 39.10.29)。すなわち、国または公共団体が行う行為のうち1.公権力性、2.具体的権利義務確定性、3.直接法効果性があるものを行政処分といいます(処分性があるといいます)。
「指定」に処分性はあるか?
指定管理者は施設の設置者である市に代わって管理を代行するもので、その指定は行政処分の一種です(処分性があります)。すなわち、行政庁と相手方当事者の合意によって成立する「行政契約」ではありません。
指定の手続きは、入札ではなく、公募等を行い、施設の設置目的を効率的に達成する観点から選考することになります。
選定された指定管理者候補は、地方自治体の議会の議決を経たうえでの「指定」という行政処分により、 公の施設の管理権限を、指定を受けた者に期間を定めて委任されます。
指定管理者が公共団体の代わりに「処分」を行う
指定管理者は、行政処分に該当する「使用許可」も行うことができるとともに、指定管理者の範囲につ いても特段の制約は設けられていません。施設の設置者である公共団体は管理権限の行使自体は行わず、設置者としての責任を果たす立場から、毎年度終了後、事業報告書を提出させます。これによ り当該公の施設の目的に沿った利用をチェックするとともに、指定管理者の管理権限の行使について、必要に応じて指示等を行い、従わない場合等には指定の取消しなどを行うことができます。
「協定書」は細かくチェックが必要
指定管理の内容を細かく定めた書面を「協定書」と呼びます。協定書の法的性質については「指定管理協定書の締結」という記事を御覧ください。