記事の概要
指定管理の受託者側メリットは?
指定管理者制度では、受託者(地方公共団体)のメリットばかりが強調されていますが、受託者側にはメリットはないのでしょうか。
ここでは、指定管理者の指定を受けた場合の「受託者のメリット」を考察してみたいと思います。
受託者のメリットとしては、以下の5点が考えられます。
- 公共団体からの継続的な売上確保が可能
- 指定管理受託実績が信頼性担保材料
- 行政とのパイプを確保
- 地域貢献
- 業務ノウハウを蓄積
継続的な売上確保
指定管理者制度では、一般の企業だけでなくNPO法人やその他の団体でも指定を受けることが可能です。
規模の小さいNPO法人や団体の中には、収益性のある事業を継続することが困難で財政基盤を確立することができず、活動が停止してしまう法人も多くあります。
まだ財政基盤が確立していない法人であっても、指定管理者の指定を受ければ数年から10年程度は継続的な売上を確保することが可能です。指定管理の受託によって収益性を確保することにより、余裕を持って地域貢献に取り組むことが出来るようになります。
信頼性担保
指定管理者の指定を受けるためには、各種の審査を経たうえで議会の議決を得る必要があります。不健全な運営を行っている法人や団体は審査でふるい落とされてしまいます。したがって、公共団体から指定管理者の指定処分を受けたという事実は、法人や団体の信頼性を担保する材料となります。
また、同種の事業について他の公共団体からも指定管理者指定を受けようとする場合には、指定管理者受託の実績は大きなアピールポイントとなります。
行政とのパイプ
指定管理者の指定を受けると、行政と常に連絡を取りながら受託業務を履行することになります。指定管理制度を導入する施設は許認可を必要とするものも多いため、行政とのつながりが強いことは当該業務を継続する上で有利に働きます。
同種の事業を単独で新設する場合にも、指定管理者として受託していることは有益です。
地域貢献
指定管理制度を導入する施設は、当該施設の設置者である公共団体が直接運営するのでは収益を確保することが出来ないものが大半です。そのため、民間のノウハウを導入して運営を効率化しようとするものです。
したがって、指定管理者として運営を受託して民間のノウハウを提供し、公共団体の財政負担を軽減することで、地域貢献につながります。
業務ノウハウ
指定管理者として公共団体の業務を受託することによって、当該業務のノウハウを蓄積することが可能です。民間事業者が施設を新設して運営する場合には、新規に利用者を獲得する必要があります。一方で、指定管理者を公募する施設は一般的に利用者が一定程度見込まれるものです。したがって、初年度からある程度の規模で業務を展開し、大規模な事業に関するノウハウを獲得することが可能です。
さらに、従前には同種の事業を手がけておらず、隣接業種から新たに指定管理者として参入する事業者の場合には、新しい分野の業務ノウハウを蓄積することが可能です。